水商売なんてやってると、
一度ぐらいね、アレをやってみたくなるよね。

あー、色恋営業やってみたいな
でも、これってさ、好き好きになってくれないとダメでしょ。
だから、チャンスがないんだよね。
ないんだよ、ないんだよ、ないんだよ。
推定100kg以上の巨漢に付けと言われて悶絶
軽く100kgは超えてるだろってお客様がおひとりでご来店。
面白い系には見えないな。
うむ、パス。
えーっ、私がつくの?
勘弁してよ、もう。
なんで私がつかなきゃいけないんだよ。
下っ端だから。
トークが冴えるゆりん
いらっしゃいませ~
仕事ですからね、パスって訳にもいかないよ。
おすもうさんのおなかをポンポンするゆりん。
ボディタッチね、ボディタッチ。
すごいね、安心感
おなかの中になにはいってるの~?
金塊かなー?

水商売が言いそうなことだな

まったくでございますね
私って背が高いから、お客さんぐらい大きい人がいいな。
けっこうお似合いかもね
ブーちゃんって呼んでいい?
ドゥフドゥフフフと笑うブーちゃん
その笑い方、やめろ。
だいたいお客さんはここで悪乗りして、
冗談でいろいろ言うもんなんだけど。
ドゥフフと来たか。
ブーちゃんは太客どころか極細
色恋営業をやってみたいとは思ってたよ。
でも、妄想の中ではイケメン紳士が相手で、ブーちゃんではないんだよね。
仕事だからね、普通にLINEとかする訳だよ。
明日からショーが変わるんだよ。
初日はブーちゃんに見に来てほしいな
すみません、お金ないです。
ふざけんなよ。
お前にはプライドってもんがないのかよ。
せめて他の理由を使えよ、金がないって、
なんだよ、それは。
えーっ?
初日にブーちゃん来ないとテンション上がんなーい
ヒヒヒ、来やがったよ。
極細客はドーピングで太らせるのが水商売だけど…
さすがに今はこんなこと考えないですよ。
でも、当時はクレカ使えばいいじゃんぐらいに思ってましたね。
使いすぎ?
そんなもんね、男だったら、
リボルビングD
グイっとリボルビングDを一気に飲んじまえ!
これぐらいに思ってましたね。

ブーちゃんドーピング効果か?
よくお店に来てくれるようになったのはいいけど、ちょっと頻度が多すぎるかな。
気になりだしたんだよね。
色恋やってみたいとは思ってたけど、ブーちゃんに色恋やってる気はなかったよ。
だって、私の中ではノーマルな営業の範囲。
そりゃ営業ぐらいするけど、おもろい話ぐらいしかしてない。
ブーちゃんはドゥフフフって笑ってるだけ。
だから、その笑い方やめろ。
ドーピングしてるのが見えてきた
アフターとかするんだけど、お店も私が決めちゃうんだよね。
知ってるお店じゃないと、悪目立ちするからね。
御用達みたいなお店があるんだけど、まぁ安くはないんだよね、そういうお店って。
お店に来だしたときは現金だったけど、既にカードを切りまくり。
ドーピングだよ。
ブーちゃんは派遣だったし、ちょっとマズイなって思いだした。
かといって、来るなってのもおかしい。
ついに禁断の秘儀を求められる
女子とうまくやれないなって見え見え。
気に入られようと一生懸命なのが見えてきて、私もなんか苦しくなってきた。
あんた、私はオカマだよ。
一緒にいると楽しいって言うんだよ。
日中ハーフと言っても、大阪生まれの大阪育ちだからね。
そりゃ、おもろいですよ。
あんたはドゥフフって笑ってるだけやないか。
ひょっとして、色恋営業になっちゃってる?
アフターの後に個室へGO!するかい
アフターのときに、
ついにホテルに行きたいと言い出した。
そりゃね、私もいろいろお上手だけど、ブーちゃんはちょっと違うでしょ。
明らかに経験が少ないパッとしないブーちゃん。
店外は1回もしてないし、ここらへんでわかりそうなもんだけど。
けっこうお酒も強いし、かつては女子のお店にも行ってたみたい。
私もだいぶ泡を開けてもらったよね。
きっと、キャバでも相当やられただろうな。


CMが多いぞ!

そーぉ?
ちょっとズルいけど色恋っぽく斬るしかない
きっと勇気を振り絞って禁断の秘儀を求めたんだろうね。
見た目も良くないし、ドーピングで通ってるけど、嫌いじゃなかったよ。
やさしいと思うけど、火を着けられない人なんだよね。
変に断って逆上したら、フライングボディプレスで圧死やで。
ちょっと、待てよ。
ところで、お前さ、私のこと好きなの?
聞いたことないぞ。禁断の秘儀を求めるけど、
お前、手続きがないやないか。
これや、これ。
あのさ、気持ちが聞こえてこないんだけど…
出ろ!出ろっ、今だ、絞り出せっ!
涙、出ろ。
出るかい、そんなもん。
気持ちが聞こえてこないだって、うまいね、ゆりんちゃん。
お決まりの私たちはそんな簡単じゃない、水商売だからってとか、まあいろいろ言いましたね。
明らかに狼狽して謝っていたブーちゃん。
そして、泣いた。
私が。
もったいない、もったいないと思った
家に帰ってから、涙がポロポロ出たよ。
すごく自分が嫌いになった。
ずっと聞こえてたよ、気持ちは聞こえてたよ。
言えないってことも分かってたけど、
無理なんだってば、ブーちゃんは純粋過ぎて分かんないんだよ。
最悪の行動をする若きゆりん
私って最悪でさ、
ブーちゃんがもったいなく感じたんだよね。
それでね、少ししてから、ブーちゃんにLINEしたんだよ。
勝手なもんだよね、ほんと。
既読にもならなくて、いろいろ調べて秘儀を駆使したら、
アッサリ削除されとるがな。
涙をかえせ、私の涙をかえせ!
ねちねちするメンズが多いんだけど、なかなかいい男じゃんね。
これ以降、色恋営業への憧れはなくなったけど、
二度と色恋営業をするチャンスもないのぅ。
やれやれ、出動するか。
